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家づくりに活用できる補助金・制度をまとめてご紹介:住まいのマネー部
初めての
住宅ローン控除
適用要件や手続き、
注意点を解説
06 初めての住宅ローン控除適用要件や手続き、注意点を解説 06 初めての住宅ローン控除適用要件や手続き、注意点を解説
Aさん一家のお母さん

住宅ローンを組むなら、やっぱり控除は活用したいな。
でも、控除ってどれくらいお得になるんだろう?

マネー博士

住宅ローンの控除について考えているんだね。
せっかくある制度だし、ぜひ控除は活用した方が良いよ

Aさん一家のお父さん

控除って、難しそうなイメージがあります

マネー博士

やったことがないと、どうしても難しく感じてしまうよね。それじゃあ、住宅ローンの控除について見ていこう!

マネー博士

「おうちアプデ研究所 マネー部」の家のお金に詳しいマネー博士。「お得な家づくり」の実現に向けて研究に取り組んでいる。

Aさん一家

30歳夫婦+子ども1人(結婚4年目、子ども3歳) 購入した中古住宅のリフォームを検討している。住宅ローン控除や補助金などが存在することは知っているが詳しい内容がわからないため、いろいろと情報収集している。

この記事では、
私たちの家族を
モデルケースに
しています

これから中古住宅を購入してリフォームをしようと考えている方や、現在住んでいる住宅を
リフォームしたいと考えている方のなかには、
住宅ローンを組むことを検討している方も多いのではないでしょうか。

お得にリフォームしたい方におすすめなのが、住宅ローン控除(減税)の利用です。
一定要件を満たした方は住宅ローン控除が適用されるため、所得税(一部翌年の住民税)をおさえられます。

今回は住宅ローン控除の適用要件や手続き、注意点について解説します。
住宅のリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

住宅ローン控除とは?

マネー博士

住宅ローンの控除って、
聞いたことはあっても詳しくは知らない人も多いんだ

Aさん一家のお父さん

たしかに、具体的にどういうものなのか知りませんでした

マネー博士

大丈夫!ここでしっかりと
住宅ローンの控除について見ていくからね

住宅ローンの控除
住宅ローン控除
(減税)とは

住宅ローン控除(減税)とは、年末時の住宅ローン残高の0.7%が最大13年間にわたって、
所得税(一部翌年の住民税)から控除される制度
です。
国が住宅購入やリフォームを支援するために設けられています。

国が支援する背景

国が支援する背景にあるのは、経済の活性化および地球環境への配慮(SDGs)の観点です。

経済の活性化

住宅購入が促進されると、ハウスメーカーや金融機関、家電、インテリアなど、さまざまな業界が活性化するため、経済効果に大きな影響を与えます。

地球環境への配慮(SDGs)

SDGsの観点では、日本は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目標に掲げています。この目標を達成するために、長期優良住宅やZEH住宅、省エネ基準適合住宅のような環境に配慮した高性能な住宅ほど、多くの控除を受けられるように設定されていますよ。

現在の住宅ローンは変動金利だと0.3〜0.4%台で借りられる金融機関が多いよ。住宅ローン控除を利用すれば、支払っている金利よりも多くの金額が控除されるね。

住宅ローン控除が
適用される条件

マネー博士

住宅ローンの控除って、実は色んな種類があるんだ

Aさん一家のお母さん

そうなんですか!控除って1種類だけだと思ってました

マネー博士

家の種類によって、住宅ローンの控除
いくつかの種類に分かれるんだ

住宅ローン控除は物件の種別によって
最大控除額が異なります。
新築/
既存等
住宅の
環境
性能等
借入限度額
控除期間
令和4
・5年入居
令和6
・7年入居

新築住宅
買取再販

長期優良住宅・低炭素住宅
5,000
万円
4,500
万円
13年間
ZEH水準省エネ住宅
4,500
万円
3,500
万円
省エネ基準適合住宅
4,000
万円
3,000
万円
その他の住宅
3,000
万円
0

既存住宅

長期優良住宅・低炭素住宅
3,000万円
10年間
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
その他の住宅
2,000万円
参照元:国土交通省「住宅ローン減税」
それぞれの要件を詳しく解説します。
新築住宅の場合
新築住宅の場合、以下の要件を満たす必要があります。
自らが居住するための
住宅であること
床面積が50㎡以上
であること※
合計所得金額が2,000万円
以下であること※
住宅ローンの借入期間が
10年以上であること
引き渡しまたは工事完了から
6か月以内に入居すること
※2023年までに建築確認を受けた新築住宅を購入する場合、合計所得金額1,000万円以下に限り床面積要件が40㎡以上。
店舗併用住宅や事務所併用住宅で住宅ローン控除を受けるには、建物の延べ床面積の1/2以上が
居住用途である必要があります。また、実際に控除が適用されるのは居住用途部分のみです。たとえば、
居住部分が60%、店舗部分が40%の場合、住宅ローン控除は60%減額されます。

なお、住宅ローン控除の床面積の対象になるのは登記簿面積です。物件のパンフレットなどに記載されている面積(壁芯面積)とは異なるケースがあるため、必ず登記簿上の面積を確認しましょう。

登記簿面積は壁芯面積よりも小さいことが多いから、50㎡以上の物件でも必ず登記簿謄本を確認しよう。

買取再販住宅の場合
買取再販住宅とは、宅地建物取引業者(宅建業者)が中古不動産を購入しリフォーム・リノベーションを
行ったうえで再度販売に出される住宅のこと
です。
買取再販住宅で住宅ローン控除の適用を受けるには、
新築住宅の要件に加えて、以下の要件を満たす必要があります。
新築住宅の要件
+
既存住宅が新築された日から
10年を経過していること
工事費用が売買価格の20%に
相当する金額であること
1982年以降に建築または現行の
耐震基準に適合していること
売主である宅建業者が既存住宅を
取得した日から2年以内に購入していること
取得する物件が要件を満たした
工事を行っていること

具体的な工事費用や工事内容は売主である宅建業者にしかわからないから、買取再販住宅を購入する場合は、住宅ローン控除の適用要件を満たしている物件であるかを確認しよう。

中古住宅の場合
住宅ローン控除では一般的な中古住宅のことを既存住宅と呼びます。

中古住宅で住宅ローン控除を受けるには、新築住宅の要件に加えて
耐震基準の要件を満たす必要があります。

新築住宅の要件
+
1982年以降に建築または
現行の耐震基準に適合していること
現行の耐震基準のことを新耐震基準と呼びます。
新耐震基準が適用されているのは1981年6月1日以降に建築確認を取得した物件です。
建築確認とはこれから建築する物件が法令に適合しているかを確認することであり、
竣工日とは異なる点に注意しましょう。

住宅ローン控除では、1982年以降に建築された建物はすべて新耐震基準として取り扱っています。
1981年以前に建てられた住宅に関しては、耐震基準を示す耐震基準適合証明書などの提出を求められます。

耐震基準適合証明書は建築士に依頼して発行してもらう必要があるよ。耐震基準を満たしていない場合は補強工事が必要になる点に注意が必要だね。まずは、建築士に依頼して耐震診断を実施しよう。

リフォームでも
住宅ローン控除を受けられる

マネー博士

実はリフォームのときにも住宅ローンを使えるんだけど、
リフォームで使った住宅ローンの控除もあるんだよ!

Aさん一家のお父さん

リフォームでも控除があるなんて知りませんでした!

マネー博士

控除があるなら、ぜひ使いたいよね。
控除を受けるための要件や他の減税制度について見ていこう

住宅ローンは住宅購入時に利用することが多いため、住宅ローン控除も購入時にしか適用されないと
思われがちです。しかし、住宅ローンおよび住宅ローン控除はリフォームでも適用されます。

ここからはリフォームで住宅ローン控除を受けるための要件や、他の減税制度について解説します。
リフォームで住宅ローン控除を
受けるための要件
リフォームで
住宅ローン控除を
受けるための要件

住宅ローンを利用して以下の要件に該当する住宅の増改築(リフォーム)を行った場合、
住宅ローン控除が適用されます。

建築基準法に規定する大規模な修繕
または大規模の模様替えの工事
区分所有建物の床、階段または壁の過半に
ついて行う一定の修繕・模様替えの工事
居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関
または廊下の一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
耐震改修工事
一定のバリアフリー改修工事
一定の省エネ改修工事
なお、個人における要件は以下の通りです。
自らが居住するための
住宅であること
床面積が50㎡以上であること
(床面積の1/2以上が居住用途)
住宅ローンの借入期間が
10年以上であること
民間の金融機関や独立行政法人住宅金融支援
機構などの住宅ローンを利用していること
補助金を差し引いた工事費が100万円を超え
ていること(1/2以上が居住部分の工事費)
住宅の増改築等の日から
6か月以内に居住していること
控除を受ける年分の合計所得金額が
2,000万円以下であること

リフォームで住宅ローン控除を受けるには、工事内容が要件を満たしている必要があるよ。事前に住宅ローン控除を受けたい旨を施工業者に伝えてリフォーム内容の打ち合わせをしよう。

リフォーム減税も受けられる
リフォーム減税も
受けられる
リフォーム減税の正式名称はリフォーム促進税制です。リフォーム減税ではローンの有無にかかわらず、
一定要件を満たした工事を行った場合に控除が適用されます。

対象の工事は以下の通りです。

耐震工事

同居対
応工事

長期優
良住宅
化工事

バリア
フリー
工事

省エネ
工事

控除期間は1年であり、
具体的な控除額は
以下の通りです

性能向上リフォームの
標準的な工事費用相当額の
10%

性能向上リフォームの
限度額超過分と
その他の増改築工事費用額の
5%

なお、工事内容によって最大控除額は異なります。
対象工事
最大控除額
耐震工事
62.5万円
バリアフリー
工事
60万円
省エネ工事
62.5万円 もしくは 
67.5万円 ※工事内容による
同居対応工事
62.5万円
長期優良
住宅化工事

62.5万円※1
(67.5万円※2

もしくは 75万円※2(80万円※3)

※1.(耐震または省エネ)+
耐久性向上改修工事を行う場合

※2. 左記の工事と併せて
太陽光発電設備設置工事を行う場合

※3. 耐震+省エネ+
耐久性向上改修工事を行う場合

参照元:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「リフォームの減税制度」

予定しているリフォームが減税制度の対象になっているかを確認しましょう。

リフォーム減税は耐震工事限定で住宅ローン控除と併用できるよ。

住宅ローン控除の計算方法と
シミュレーション

マネー博士

控除を受けるときに気になるのが
『どれくらい節税できるか』だよね

Aさん一家のお母さん

どれくらい節税できるか分かれば、
住宅ローンに対する不安も小さくなります

マネー博士

そうだよね。ここでは、住宅ローン控除の計算方法と
シミュレーションについて見ていくからね

住宅ローン控除の適用を受ける際は、事前にどの程度の節税効果があるのかを
シミュレーションする必要があります。
なぜなら、自分の年収や返済スケジュールによって受けられる控除の額が異なるためです。

たとえば、Aさん一家が中古住宅で、長期優良住宅や低炭素住宅に該当する
高性能な住宅にリフォームする場合、最大の控除額は以下の通りです。

最大の控除額 : 3,000万円 × 0.7% × 10年 = 210万円

しかし、住宅ローン価格が 3,000万円 を下回ると最大限の控除は受けられません。
具体的に以下の条件で借り入れをした場合のシミュレーションを見ていきましょう。
例えば3,500万円
住宅ローンなら…

住宅ローン:3,500万円 
金利:0.5% 
借入期間:35年 
返済方式:元利均等返済 
毎月返済額:90,854円 
返済開始時期:2023年8月

住宅ローンの
年末残高
控除額
2023年12月

34,618,326

210,000
2024年12月

33,699,060

210,000
2025年12月

32,775,187

210,000
2026年12月
31,846,683
210,000
2027年12月
30,913,527
210,000
2028年12月
29,975,694
209,829
2029年12月
29,033,160
203,232
2030年12月
28,085,904
196,601
2031年12月
27,133,901
189,937
2032年12月
26,177,125
183,239

上記のシミュレーションだと借り入れ6年目から年末残高が 3,000万円 を下回るため、
最大限の控除を受けられなくなります。
住宅ローン控除を最大限活用するには、購入してから10年間
年末ローン残高が 3,000万円 を下回らないようにする必要があります。

目安として年収620万円の方は、所得税が 20万円であるため、
10年間年末ローン残高が 3,000万円 を下回らなければ、年間の所得税が0になります。

住宅ローンの控除

自分の年収をもとに所得税や住民税を把握して、最も節税効果が高くなるラインを判断しよう。給与明細を確認すれば所得税がいくら引かれているかわかるよ。

住宅ローン控除の適用を
受けるための手続き

マネー博士

住宅ローンを組めば
自動的に控除を受けられるわけじゃないからね

Aさん一家のお父さん

やっぱり、控除を受けるには難しい手続きが必要なんでしょうか?

マネー博士

心配する必要はないよ!
ポイントさえ押さえておけば、手続きはそんなに難しくないからね

住宅ローン控除の適用を受けるには
所定の手続きが必要です。
住宅ローンを組んだ年と2年目以降で手続き方法が異なるため、それぞれについて解説します。
1年目は確定申告が必要
住宅ローン控除を受けるには、入居した翌年の3月15日までに確定申告が必要です。会社員にとって
馴染みの薄い確定申告ですが、手続きを行わなければ控除が受けられない点に注意しましょう。

確定申告では主に以下の書類が必要になります
必要書類
取得場所
確定申告書
国税庁のHP・
税務署
(特定増改築等)
住宅借入金等特別控除額の
計算明細書
国税庁のHP・
税務署
住宅取得資金に係る
借入金の年末残高等証明書
金融機関
登記事項証明書
法務局
増改築等の請負契約書
リフォーム会社
市区町村からの
補助金決定通知書
(補助を受けた場合)
自治体の役所
贈与税の申告書
(住宅購入にあたり
贈与を受けた場合)
自己所有
増改築等工事証明書
建築士や
評価機関
源泉徴収票
勤務先

確定申告の方法がわからないときは税務署で教えてもらえるよ。3月15日が近づくと税務署も忙しくなるからなるべく早いタイミングで相談しよう。

2年目以降は年末調整で対応
会社員の場合、2年目以降は会社の年末調整で対応できるため、確定申告の必要はありません。
年末調整の時期にかけて届く以下の書類を勤務先に提出しましょう。
(特定増改築等)
住宅借入金等特別控除申告書
住宅取得資金に係る
借入金の年末残高等証明書

自営業者は毎年確定申告が必要なので、忘れずに申告しよう。確定申告に関する情報はインターネット上にたくさんあるから、その中から信頼できる情報を選ぼうね。

住宅ローン減税の注意点

マネー博士

ぜひ活用して欲しい住宅ローンの控除だけど、
気をつけて欲しいこともあるんだ

Aさん一家のお母さん

どんなことに気をつければいいんでしょうか?

マネー博士

決して難しいことじゃないから、安心してね。
2つの注意点を覚えておけば大丈夫だよ

住宅ローン控除の注意点は以下の2つです。

それぞれについて解説します。
申請を忘れたら還付申告を行う
申請を忘れたら
還付申告を行う
会社員の方が確定申告を忘れた場合、還付申告をすることで納めすぎていた税金が還付されます。
還付申告の期限は5年間であるため、期間内に忘れずに手続きをしましょう。

一方、毎年確定申告が必要な自営業者の方が住宅ローン控除の申請を忘れた場合、
更正の請求ができる可能性があります。
更正の請求とは本来よりも多くの税金を納めた際に、税務署に還付を求める行為です。

更正の請求が認められるかどうかは税務署によっても異なるから、忘れずに申告するのが1番だね。

繰り上げ返済は計画的に行う
繰り上げ返済は
計画的に行う
住宅ローン控除を受ける場合、繰り上げ返済は計画的に行いましょう。

住宅ローン控除は年末時点の住宅ローン残高に応じて控除額が決まるため、
繰り上げ返済をすると本来適用されるはずだった控除が受けられなくなる可能性があります。

繰り上げ返済は控除期間終了後に行うなど、最大限の控除を受けられるよう計画的に行いましょう。

10年間の間に繰り上げ返済の資金を確保しておくのが賢い方法だね。損をしないように、住宅ローンは計画的に活用しよう。

リフォームでは
住宅ローン控除を活用しよう

Aさん一家のお母さん

住宅ローンの控除って、こんな仕組みになってるんですね。
すごくよく理解できました

Aさん一家のお父さん

こんなにお得なら、活用しなきゃもったいないですね

マネー博士

ちゃんと理解してくれたみたいだね。
住宅ローン控除(減税)は、国が住宅購入や
リフォームを支援するために設けている制度で、
住宅の種類によって控除額は変わってくるんだ。
だから、住宅ローンを組む前に
控除の要件を満たしているかどうかを確認しておこうね

Aさん一家のお母さん

住宅ローンを組む人にとっては、本当に心強い制度ですよね

マネー博士

そうなんだ!住宅ローン控除を活用して、
お得に家を購入したりリフォームしたりして欲しいな

岡﨑 渉
岡﨑 渉
国立大学卒業後新卒で大手不動産仲介会社に入社。約3年間勤務した後に独立。宅地建物取引士・FP2級の資格を保有。